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第95話 遺跡調査

Author: 黒蓬
last update Huling Na-update: 2025-05-25 06:00:15

翌日、冒険者ギルドにやってくると、俺達宛てに指名依頼が来ていた。

当然依頼人はフィレーネさんだ。名目上は学生達の安全のために、遺跡に問題がないか調査をして欲しいという依頼内容になっていた。

その依頼を引き受けて、俺達は再度ハベレスカ遺跡にやってきた。

ギルドからの人払いが効いているのか周囲には人の姿は無くなっていた。

「名目上とはいえ依頼だから、まずは遺跡に変わっているところがないか一通り見て回ろうか」

「分かりました。私はあちらの方から見てきますね」

と言ってカサネさんは東側へ向かいながら遺跡の様子を確認していった。

俺も西側から遺跡を見ていくことにした。

周囲をぐるっと一周してから中央まで見てみたが特に怪しい所は無し。

やはり盗賊達の目的は例の台座のようなもので、それ以外には何もしていないようだ。確認も終わって目的の場所にやってきたが、そこには以前に見た台座の姿はなかった。盗賊の首領が逃げる前に何かしていたようだったが、恐らくは何かの仕掛けで台座を隠したのだろう。

「ぱっと見だとそれらしい仕掛けはありませんね。まぁそんなに分かり易いものがあったら今までに誰かが見つけていたとは思いますけど」

「そりゃそうだ。確かしゃがんで何かしていたから仕掛けは床の方にあると思うんだけど・・・」

床は遺跡の壁と同様に石造りで隙間なく並べられている。触ってみても変なところは・・・「ガコッ」っと触っていた石の一つが急に沈んだ。

「お?当たりか?・・・何も起きないな」

偶々床が抜けていただけか、と思いつつも他に何かないかと見てみると反対側の浮き上がった石の下に紙きれとスイッチのようなものがあった。

「床下に隠してあったのか、道理《どうり》で見つからないわけだ」

普通なら遺跡の床が多少がたついたところで気にしはしないだろう。首領が逃げるところをちゃんと見ていてよかった。

スイッチを押すと周囲の床が動きあの時見た台座が姿を現した。

「すごいな。どんな仕掛けになっているんだ?」

「魔法の気配はありませんでしたし、本当に謎ですね」

『そこは気にしてもしょう
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